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ワクチンと病気について

ワクチン情報

帯状疱疹ワクチン

  • 2023-06-29
  • 任意接種
  • 生ワクチン
  • 不活化ワクチン
  • 成人
  • 高齢者
  • 渡航者
  • 無脾・脾摘
  • 腎不全・透析
  • 糖尿病
  • 心不全・心筋梗塞
  • 肺疾患
  • 癌予防・がん予防
  • アルコール中毒
  • たばこ・喫煙者
  • MSM
  • HIV・免疫不全・ステロイド・免疫抑制剤

帯状疱疹を予防するワクチンについて

帯状疱疹の発症を予防できるワクチンとしては、生水痘ワクチンと帯状疱疹ワクチンの2種類があります。
予防できる病気水ぼうそう(水痘)帯状疱疹帯状疱疹
ワクチンの種類生ワクチン
商品名:乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」
不活化ワクチン 
商品名:帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」筋注用
定期/任意任意(成人)任意 
接種対象者50歳以上50歳以上の人
または
帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の人
接種量0.5ml 0.5ml 
接種間隔1回 皮下注射2か月以上あけて(〜6か月以内に)2回 筋肉内接種 
*1か月まで短縮することが可能(詳細は以下を参照)
費用1回約6000-8000円(施設により異なる)
*公費助成を受けられる自治体もあります
1回約18000-25000円(施設により異なる)
*公費助成を受けられる自治体もあります

水痘ワクチン(生ワクチン)について

ワクチンの効果 

乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」自体の帯状疱疹予防に関するデータはありませんが、同じOka株を元に作成されたほぼ同等のウイルス力価であるZOSTAVAX®のデータがあります。60歳以上を対象とした研究では、接種後3.12年間で帯状疱疹発症が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛(PHN)発症が66.5%減少しました1)。50〜59歳を対象とした別の研究では、帯状疱疹の発症予防効果は69.8%でした2)。効果の持続期間を調べた研究においては、ワクチン接種後1年以内の帯状疱疹発症予防効果は68.7%でしたが、接種後8年目では4.2%まで低下していました3)

どんな人にお勧め?

帯状疱疹予防として、50歳以上の水痘にかかったことがある人や帯状疱疹にかかったことがある人に1回の接種をお勧めします。

接種スケジュール作成のポイント

50歳以上の成人に1回接種

ワクチンの副反応

帯状疱疹予防目的の臨床試験では副反応は50.6%に認められ、注射部位紅斑(44.0%)、注射部位そう痒感(27.4%)などの局所反応が主であり、重篤な副反応は認められませんでした4)

ワクチンの禁忌

・水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある人
・妊娠していることが明らかな人
・明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する人、および免疫力抑制をきたす治療を受けている人

 なお、ワクチン接種後2か月間は妊娠を避けてください。

帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」について

ワクチンの効果

シングリックス®の2回接種の効果については、臨床試験において、帯状疱疹の発症予防は50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%と高い有効性を認めました。帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症予防についても、50歳以上で100%、70歳以上で85.5%の減少率を認めました5)6)。シングリックスの有効性ついては追跡調査が行われていますが、2022年10月に、ワクチン接種後少なくとも10年間は予防効果が持続することが確認されました7)

どんな人にお勧め?

帯状疱疹予防の目的では水痘ワクチン(生ワクチン)も効果がありますが、生ワクチンは免疫抑制状態のひと(免疫機能に異常をきたす疾患を有する人(HIV感染症など)、および免疫力抑制をきたす治療を受けている人)は接種できません。そのため、生ワクチンを接種できない免疫抑制状態のひとは、帯状疱疹予防に不活化の帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)を接種します。
また、帯状疱疹は約6.4%に再発が認められるため8)、帯状疱疹にかかったことがあるひとの再発予防としても有効です。

接種スケジュール作成のポイント

1回目と2回目の間隔:2か月
接種間隔が2か月を超えた場合、6か月後までに2回目を接種します。

2023年6月に適応が拡大になり、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の人も接種対象となりました。以下のような状態の人を指します。
・疾病または治療により免疫不全である人、免疫機能が低下した人または免疫機能が低下する可能性がある人
・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた人
また、このような状態にあり、ワクチン接種スケジュールを短縮することによりベネフィットが得られる場合には、1回目の接種から2回目の接種まで間隔を1か月まで短縮することができます9)

ワクチンの副反応

他のワクチンに比較して局所性副反応の頻度は高いですが、いずれも3日前後で消失することが分かっています10)

ワクチンの禁忌

当ワクチンに対しての強いアレルギー症状を起こしたことがある場合以外には禁忌はありません。

参考文献・サイト

1)Oxman MN, et al. A vaccine to prevent herpes zoster and postherpetic neuralgia in older adults. N Engl J Med. 2005 Jun;352(22):2271–84.

2)Schmader KE, et al. Efficacy, safety, and tolerability of herpes zoster vaccine in persons aged 50-59 years. Clin Infect Dis. 2012 Apr;54(7):922–8.

3)Tseng HF, et al. Declining Effectiveness of Herpes Zoster Vaccine in Adults Aged ≥60 Years. J Infect Dis. 2016 Jun;213(12):1872–5.

4)帯状疱疹ワクチンファクトシート 平成29(2017)年2月10日. 国立感染症研究所. 

5)Lal H, et al. Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults. N Engl J Med. 2015 May;372(22):2087–2096.

6)Cunningham AL, et al. Efficacy of the Herpes Zoster Subunit Vaccine in Adults 70 Years of Age or Older. N Engl J Med. 2016 Sep;375(11):1019–1032.

7)Strezova A, et al. Long-term Protection Against Herpes Zoster by the Adjuvanted Recombinant Zoster Vaccine: Interim Efficacy, Immunogenicity, and Safety Results up to 10 Years After Initial Vaccination. Open Forum Infect Dis. 2022 Oct;9(10).

8)Shiraki K, et al. Herpes Zoster and Recurrent Herpes Zoster. Open Forum Infect Dis. 2017 Jan;4(1).

9)シングリックス添付文書

10)乾燥組換え帯状疱疹ワクチンシングリックス®筋注用 主要な臨床試験成績等の概要.2018年5月17日. ワクチン評価に関する小委員会資料. 厚生労働省.

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