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ワクチンと病気について

妊娠可能女性・妊婦のワクチン

妊娠可能年齢の女性と妊婦のワクチン

  • 2024-02-11

妊娠中に感染すると母体が重症化したり、胎児が感染し流産・早産のリスクになる感染症がいくつかあります。それらの中には、ワクチンで予防できる感染症(VPD:vaccine preventable disease)があり、妊娠希望の女性はあらかじめそれらVPDに対する免疫をつけておくことが、元気な赤ちゃんを産む上で非常に重要です。
 妊娠中に生ワクチンは接種できません。そのため、生ワクチンで予防できるVPDについては、とくに妊娠前に免疫をつけておく必要があります。母体が事前に免疫をつけておくことは、生まれた乳児の感染または重症化を予防することにもつながります。
 接種の時期・必要性についてはかかりつけの医師とご相談ください。

妊娠中に免疫をつけておくべき感染症(VPD)のリスト

表)感染症にかかった時の、胎児および母体に対する影響
VPD VPD罹患による
胎児の奇形
VPD罹患による
母体への影響
その他
風疹生ワクチン先天性風疹症候群 成人の約15%が不顕性感染
麻疹可能性は低い重症化しやすい致死率0.1%
水痘
(水ぼうそう)
先天性水痘症候群重症化しやすい出生児が水痘に罹患すると重篤化リスク大
ムンプス
(おたふく)
可能性は低い 子供/大人ともに難聴などの合併症リスク
インフルエンザ不活化ワクチン可能性は低い重症化しやすい 
百日咳
《三種混合ワクチン》
可能性は低い 早期乳児(6ヶ月未満)は重症化リスク
COVID-19可能性は低い重症化しやすい
(特に妊娠後期)
 

◉上記以外のあらゆる感染症でも、流早産のリスクが伴います
◉どのワクチンも世界的に安全性と有効性が確かめられているものです
※mRNAワクチン など(いずれも不活化ワクチンに近い部類:2023.5時点)

生ワクチンについて

・予防接種が望ましい人:
 上記感染症にかかったことがなく、かつ、ワクチン接種回数が生涯(1歳以上)で計2回に満たない、
 または接種歴が不明な場合。その他、各感染症の抗体価が不足している場合。

・接種回数:
 ワクチン接種回数の不足分(接種歴が1回なら追加で1回)。
 接種歴が不明な場合は2回接種を推奨します(いずれも1か月の接種間隔をあけて)
 注)生ワクチン接種後は2か月間の避妊が推奨されます。

妊婦のワクチン

妊婦に対するワクチン接種の目的は、妊婦が感染すると、非妊婦に比べ重症化しやすい感染症や、妊婦が感染することにより胎児に悪影響が生じうる感染症、また、乳児が感染すると重症化しやすい感染症を予防することです。
 妊婦に生ワクチンの接種は禁忌です。
 一方、不活化ワクチンやmRNAワクチンを含めた、生ワクチン以外のワクチンは妊娠中でも接種が可能です。
 インフルエンザワクチンについては流行期に妊娠中の場合は接種することを推奨します。接種の時期はいつでも問題ないと言われていますが、妊娠初期はワクチン接種の有無によらず、自然流産などが起きやすい時期のため、心配な方は妊娠14週以降の接種を検討することも可能です。流行時期や妊娠週数との兼ね合いもあるため、接種時期についてはかかりつけ医とご相談ください
(チメロサール含有ワクチンでも問題ありません。)2)

百日咳の予防接種について

乳児(とくに生後6か月未満)が百日咳にかかると、重症化し時に致死的となることがあります。そのため、諸外国では妊婦(妊娠27週-36週)に対してTdap(成人用三種混合ワクチン)の接種を推奨しています。妊婦に接種することで、乳児の百日咳感染を予防する効果が証明されています。妊婦のみならず、乳児を囲む家族(父・兄弟姉妹など)も免疫をつけておくことが重要ですが、日本ではTdapは未承認ワクチンのため輸入ワクチンとして扱う医療機関で接種するしかないのが現状です。また日本でも成人用三種混合ワクチン(トリビック®)が日本で承認されています。成人や小児へ1回接種することで、百日咳に対する免疫が再獲得できます。しかし、妊婦への安全性は確立されていませんので、妊娠中に接種希望の際は取り扱いのある医療機関でご相談ください。

参考サイト・文献

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