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ワクチンと病気について

渡航者のワクチン

渡航ワクチンとは

  • 2021-11-06

海外に旅行、渡航する前に必要なワクチンです。

 世界どこにでもある共通の感染症と、ある国や地域に特有の感染症があります。
そしてどちらの感染症にも、ワクチンで予防できるものがあります。
厳密な規定はありませんが、主に国外で感染する可能性がある感染症を予防するワクチンを渡航ワクチンまたはトラベルワクチンと呼ぶことがあります。
 つまり、海外に渡航する方は両方の準備が必要です。
 海外との人の行き来は年々増えていて、海外で感染した方が国内で感染症を発症したり周囲に感染を拡げる可能性もあるため、本来は日本国内でも渡航ワクチンを接種できることが望ましいのですが、現時点では以下の制約があります。

1.対象となる感染症が日本で問題になっていないため、ワクチンが日本国内で製造されていない

2.厚生労働省が医薬品として承認していないため、自費および自由意志での接種となる

3.健康保険の対象外のため比較的高額になる

4.ワクチンによる健康被害が生じた場合、承認ワクチンと比べると補償が少ない

  • https://archies-test2.com/vaccine4all/pics/news/news-145-1.png

§ 渡航ワクチンの考え方

海外に渡航する方には、上に書いたように世界共通の感染症対策と、現地特有の感染症対策の両者を行うことをお薦めします。なお、ワクチンを接種して有効になるまでには一定の期間が必要なことや、世界共通の感染症に対するワクチン接種も必要な方が多いことから、理想的には渡航の6か月程度前には医師へ相談すると良いでしょう。
 
 実際に医師へ相談する際は詳細な情報が必要です。渡航先の国や都市・地域はもちろん、渡航の目的、期間や時期、現地での具体的な行動などから必要なワクチンが変わる可能性があり、さまざまな情報を総合的に検討する必要があります。
 
例:国際会議への出席だけで、動物と接触しないなら狂犬病ワクチンは不要
例:指示された通りにワクチンを接種しないと、海外の大学に入学できない
例:海外の孤児院でボランティア活動するなら、小児感染症ワクチンが必須

§ 渡航外来にて、ワクチン接種までの具体的な手順

渡航外来(とこうがいらい)またはトラベルクリニックと呼ばれる専門外来へ相談されると、
どのようにして接種するワクチンが決定されるかを順にご説明します。

1)リスク情報の確認

2)接種歴の確認

3)推奨ワクチンを列挙

4)接種計画の立案

5)合意を確認のうえ、実施

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1)リスク情報の確認

  • https://archies-test2.com/vaccine4all/pics/news/news-145-4.png

渡航に関する情報提供やワクチン接種を過不足なく行うためには、渡航する国名だけではなく、渡航に関してかなり網羅的な情報を確認することが必要になります。上記のシートは、私たちが医師向けセミナー用に開発したチェックシートです。

2)接種歴の確認

これまで接種してきたワクチンを確認します。記憶はあてにせず、記録を重視します。
 
1.母子手帳
母子手帳がもっとも簡単で確実です。渡航外来に受診する時に必ず持参しましょう。
すぐ見つからなくても、物置を探すなどの手間をかける価値があります。実家に保管されて
いる場合、現物を郵送してもらうか接種記録のページを写真に撮って送ってもらいましょう。

2.かかりつけだった小児科など
ワクチンを接種した医院に記録が残っていれば、教えてくださるでしょう。
また定期接種の接種記録は、自治体に残っていることがありますので、問い合わせてみてください。

 
3.罹患歴の扱い
母子手帳でも他の資料でも、医師の診断記録によって罹患を確認します。
家族の証言や記憶などは曖昧なことが多いため、普通は罹患歴として扱いません。
罹患歴があれば、原則としてその疾患を予防するワクチンは接種不要です。

4.記録がない場合
原則として、記録が確認できないワクチンは接種なしとして扱います。
ほとんどのワクチンでは、採血で抗体値を測定しても接種歴を証明できません。

3)推奨ワクチンを列挙

渡航先の国や地域によって、下記のように接種が望ましいおおよそのワクチンがあります。しかし実際は、渡航目的や渡航スタイル、過去のワクチン接種歴などによって必要なワクチンが変わりますので、あくまでも参考資料で、最終的には医師の判断が加わります。

  • https://archies-test2.com/vaccine4all/pics/news/news-145-7.png

●注1:黄熱ワクチンの接種証明書を提示しないと入国できない国がある(リンク参照)
●注2:巡礼月のサウジアラビア渡航は、髄膜炎菌ワクチン接種が必要(リンク参照)

4)接種計画の立案

それぞれのワクチンは、有効になるまでに必要な接種回数や期間が異なります。
具体的な接種スケジュールは「ワクチン情報」」の各ワクチンの説明をご参照ください。 

 ここまでの情報に加えて、渡航までの期間や負担可能な費用も含めて、医師とクライアント(病気ではないので患者さんとは呼びません)で相談したうえで、最終的に接種するワクチンを決めます。
ほとんどの場合、複数のワクチンを同日接種することになります。定期接種ワクチン・承認ワクチン・輸入ワクチンが同日接種に混在しても問題はありません。

5)合意を確認の上でワクチンを接種

これまでの手順で接種計画が立案されれば、計画通りに受診が可能かを確認の上、接種を行います。

【参照リンク】

1)FORTH: http://www.forth.go.jp/index.html

2)CDC Travel: https://wwwnc.cdc.gov/travel

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