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腸チフスについて
- 2023-05-26
腸チフスとは
チフス菌と呼ばれるサルモネラの一種による感染症で、日本国内での発症はまれですが、ときどきあります。海外、とくに途上国で感染する可能性があります。特に多いのがインド、バングラデシュ、パキスタンといったインド亜大陸地域です。
感染経路 | 経口感染(汚染された飲食物からが最も多い) |
潜伏期 | 6−30日(3日という文献もある) |
周囲に感染させうる期間 | 保菌者であるかぎりは、ずっと。 |
感染力(R0)※1 | 2.8というデータもあるが日本国内ではもっと低い |
学校保健安全法 | 第三種感染症(出席停止期間:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。通常は抗菌薬治療により便検査でチフス菌が検出されなくなるまで。) |
感染症法 | 3類感染症(全数報告:直ちに届出が必要) |
※1 R0:基本再生産数:集団にいる全ての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表します。つまり、数が多い方が感染力が強いということになります。
主な症状は
「腸チフス」という名前は若干誤解を招くのですが、下痢や腹痛といったお腹の感染症だけではなく、熱だけで発症することも多いですし、淡い発疹がでることもあります。診断、治療がされないと重症化することがあり、15%で死に至ります。抗菌薬で適切な治療を受ければ死亡率は1%以下です。
診断方法は
血液培養が主な診断方法です。抗菌薬を事前に飲んでしまうと検査の精度が落ちるので、腸チフスを疑った場合(海外旅行時や帰国後の熱)は、安易に抗菌薬を飲まずに適切に検査を受けることが大事です。
腸チフス診療に慣れた専門医がいる医療機関ではより正確な特殊検査(骨髄検査や遺伝子検査など)を行うかもしれません。
腸チフス診療に慣れた専門医がいる医療機関ではより正確な特殊検査(骨髄検査や遺伝子検査など)を行うかもしれません。
治療法は
多くの場合、点滴の抗菌薬を用いますが、近年は薬剤耐性菌が増加しているため、治療法は複雑になっています。専門家に相談して、検査結果や感染地域情報を参考にして治療方法を決定します。
予防法は
飲食物の衛生に気をつけて、流行国では加熱したものだけを摂取するのが大事です。とはいえ、現実にはこれを徹底するのは簡単ではありません。国内未承認のワクチンを提供しているクリニックもあります。ワクチンはおよそ50%の予防効果があります。
腸チフスワクチンについてはこちらを参照。
腸チフスワクチンについてはこちらを参照。
参考文献・サイト
1)腸チフス・パラチフスとは 国立感染症研究所
2)腸チフス・パラチフス 厚生労働省検疫所 FORTH
(治療法などに若干間違いがある。例えば大多数の腸チフスには、抗生物質の長期間服用は必要ないが、概ね有用)
3)Typhoid & Parathphoid Fever 米国疾病予防管理センターCDC (英文)
4)Typhoid & Related Salmonelloses. Typhoid Vaccine Acceleration Consortium(英文)
2)腸チフス・パラチフス 厚生労働省検疫所 FORTH
(治療法などに若干間違いがある。例えば大多数の腸チフスには、抗生物質の長期間服用は必要ないが、概ね有用)
3)Typhoid & Parathphoid Fever 米国疾病予防管理センターCDC (英文)
4)Typhoid & Related Salmonelloses. Typhoid Vaccine Acceleration Consortium(英文)
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