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ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症について

  • 2023-04-01
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ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症とは

 HPV感染症とは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染する部位によって、子宮頸がん、肛門がん、膣がん、咽頭がんなどのがんや尖圭(せんけい)コンジローマなどの原因となるウイルス感染症です。
 HPVは100種類以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類あり、日本人では2種類(HPV16型と18型)が子宮頸がんの原因の50〜70%を占めています1)。その他、HPV6型や11型は、尖圭コンジローマなどの原因となります。
 いずれも性交渉を通じた感染経路が主です。なかでも子宮頸がんは40歳未満の女性で2番目に多いがんです(年間約10,000人が子宮頸がんを発症し、2,700人以上が死亡しています2)。子宮頸がん検診を受ける他、性交渉開始前にワクチンでHPV感染を予防することが、子宮頸がんの予防につながります。

感染経路主に性交渉
周囲へ感染させうる期間HPVウイルスを保持している間は感染の可能性があります
感染症法尖圭コンジローマは5類感染症(指定医療機関は届出が必要)

主な症状は

 HPVは主に性交渉でヒトからヒトに感染しますが、性交渉の経験がある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。HPVに感染しても90%以上の感染者では、感染後数年以内にHPVウイルスが自然に排除(消失)されます3)が、排除されずに長期間感染したままでいると尖圭コンジローマや、子宮頸がんなどのがんが生じることがあります。

 子宮頸がんの場合は、HPVの持続的な感染により、まず子宮頸部に前がん病変(異形成)が生じ、その後、数年から数十年を経て子宮頸がんに進展すると考えられています。
しかし、HPVに感染した女性のうち、子宮頸がんまで進展する割合はごくわずかで、自然にウイルスが排除されることも多いです。

 子宮頸がんの前がん病変(異形成)や早期の子宮頸がんでは、通常、症状がまったくありません。そのため、症状がなくても子宮がん検診を定期的にうけ、早期発見につなげることが大切です。また、子宮頸がんの進展にともなって、月経中でないときや性交渉の際に出血したり、普段と違うおりものが増える、また、月経時の出血が増えたり、月経期間が普段よりも長引くなどの症状がみられます。このような、気になる症状があるときは早目に受診されることをお勧めします。

 尖圭コンジローマは女性器や男性器にできるいぼ状の良性腫瘍(がんではない)ですが、治療してもくり返しやすいため、しばしば精神的な苦痛を伴います。通常、自覚症状はあまりありませんが、陰部の不快感や痛み、出血がみられることがあります。

 全国の1,000弱の医療機関で発生数を調査しており、2016年には年間およそ5,700人の尖圭コンジローマ患者が報告されています4)(全ての医療機関からの報告ではないため、実数はさらに多いと推定されます)。

診断方法は

 子宮頸がんや前がん病変の診断には、まず細胞診という検査を行ないます。細胞診によってがんが疑われた場合は、さらに組織診などの検査によって診断します。

 尖圭コンジローマは、陰部にいぼ状の病変がみられるため、医師の診察(視診)によって診断がつくことが多いです。

治療法は

 子宮頸がんの一般的な治療法は手術です。がんの広がりによって手術の方法治が異なり、がんのある子宮頸部の組織を円錐(えんすい)状に切除する方法(円錐切除術)や、子宮を切除する単純子宮全摘出術、子宮と腟などを取り除く子宮全摘出術などがあります。がんの進行によっては、放射線治療や抗がん剤による化学療法も行なわれます。

 尖圭コンジローマの治療としては、病変の切除、レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼(しょうしゃく)法、液体窒素による凍結法などの外科的な治療を行ないます。薬物療法としては軟膏を塗布する方法があります。本人が治癒しても、パートナーがHPVウイルスに感染している場合は再感染の可能性があるので、必ずパートナーも一緒に専門医に受診してください。

予防法は

 HPVワクチンを接種することで、HPVの感染を予防できます。また性交渉時のコンドームの使用などもHPV感染予防に有効です。ただし、これらの予防法はHPV感染を100%予防できるわけではありません。そのため、HPVワクチンの接種の有無に関わらず、子宮頸がんや子宮頸がんの前がん病変(異形成)の早期発見のためには、定期的に子宮頸がん検診を受け、経過観察や負担の少ない治療につなげることが大切です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについてはこちらを参照。

参考サイト

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