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B型肝炎について

  • 2023-05-07
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B型肝炎とは

 B型肝炎ウイルスが原因のウイルス性肝炎の一つです。

 血液や体液を介して感染し、感染経路にはB型肝炎ウイルスキャリアの母親からの出産時に感染する場合(垂直感染)と血液や唾液、汗、涙などの体液によってうつる場合(水平感染)の2種類があります。感染した時期、感染したときの健康状態によって、一過性の感染に終わるもの(一過性感染)とほぼ生涯にわたり感染が起こるもの(持続感染)に分けられます。
 
 1985年より開始された母子感染防止事業(全ての妊婦で感染を確認し、母親がB型肝炎ウイルスキャリアの場合には出生時にワクチン、免疫グロブリン投与を行う)によって、垂直感染は減少しました。一方で、父子感染や保育園での集団感染(2002年佐賀県)1)といった水平感染が問題となっており、水平感染予防を目的に2016年からB型肝炎ワクチンが定期接種になりました。

感染経路水平感染(性交渉を含む)・垂直感染(母子感染)
潜伏期1-6か月(急性肝炎)
周囲へ感染させうる期間HBs抗原が陽性の間は、感染させる可能性があります。
学校保健安全法その他の分類(登校(園)基準なし)
感染症法5類感染症(全数報告:7日以内に届出)

主な症状(症状・自然経過・合併症/重症化した場合)

 主に急性肝炎と慢性肝炎があります。

急性肝炎:ウイルスに感染しても70-80%は症状がなく終わりますが(不顕性感染)、20-30%に急性肝炎を発症します。1-6か月の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感、黄疸などが出現します。なかには激しい炎症による状態(劇症肝炎)となり、重症となる場合があります。劇症肝炎にならない場合は、一般には数週間で肝炎は改善します(一過性感染)。

慢性肝炎:出産時や乳幼児期においてB型肝炎ウイルスに感染すると持続感染に移行します。十数年は症状なく、感染したウイルスは体内で共存しています(無症候性キャリア)。思春期以降に一過性の肝炎を発症し、80-90%はそのまま安定しますが、10-20%の人は慢性肝炎へ移行し、一部は肝硬変、肝臓癌を発症することがあります2)

診断方法は

 B型肝炎の診断については、HBs抗原やHBs抗体、HBc抗体などを用いて行われます。HBc抗体が陰性であれば、活動性の感染(今現在感染しているという状態)は否定的ですが、それ以外の場合は様々なパターンがあります。詳細は医師にご相談ください。

治療法は

 急性肝炎の場合は、特別な治療薬がないため主に対症療法が行われます。
慢性肝炎の場合は、年齢やウイルスの状態により、抗ウイルス薬やインターフェロン療法が行われます。

予防法は

・B型肝炎ワクチンにて予防を行います。小児は定期接種となっていますが、血液や体液を扱う職場で働く成人、コンタクトスポーツ(*)をする人にもワクチン接種による予防が勧められます。

(*)コンタクトスポーツ:必然的に相手の選手と肉体的接触があるスポーツ。サッカー、レスリング、柔道、 空手、ハンドボール、ボクシング、バスケットボール、水球、ラグビー等

・血液や体液から感染するため、リスクが高い作業をする場合には手袋の着用などの感染予防を心がけましょう。

・妊婦の母親がB型肝炎ウイルスキャリアの場合は、出生時に免疫グロブリンとワクチンを接種して感染を予防します(母子感染予防事業・健康保険適用です)。

参考文献・サイト

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